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O-1 タイムラプスインキュベーターの 導入により培養室業務の負担が 減るのか

年次大会 一般演題

2020年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 山田 悠太1) ,樽井 幸与1) ,入江 真奈美1) ,水野 里志1) , 福田 愛作1),森本義晴2)

Abstract

【目的】

近年, タイムラプス付インキュベーターが広く導入され, その有用性 が報告されている.インキュベーターの性能を評価するうえで,培養成績や臨床成績だけではなく,胚の培養や観察に必要な労力やランニングコストを評価することも重要である.胚培養や観察に関するポリシーは施設によってさまざまであり, 同じインキュベーターを使用していて も,労力やコストの評価は施設によって異なると考えられる.今回我々は, タイムラプス付インキュベーターの性能を評価するため, 当院の一 般的な胚培養法であるドライインキュベーターを用いた場合と胚培養・ 観察に要する労力とランニングコストを比較した.

【方法】

今回の検討では, ドライインキュベーター(ASTEC)で培養した群をD 群, 自動化タイムラプスインキュベーター Geri+/Geri Assess®2.0 (メルクバイオファーマ社, 以下Geriとする)で培養した群を T 群と定 義し, 両群間で下記のデータを比較した.まず, 受精確認あるいは Day 5において, 卵あるいは胚1個当たりの観察からデータベースに登 録するまでの時間をそれぞれD 群とT 群で比較した.次に, 両群の1 周期当たりのランニングコスト(培養液を含む培養に必要な消耗品と点 検費を含めた維持費の合計)を比較した.なお, ランニングコストは, 周期当たりの培養ディッシュの使用は1枚, 年間稼働率80%の条件で 算出した.

【結果】

受精確認に要する時間は, 胚1個あたりD 群が72.4±6.9秒,T 群が 88.4±23.9秒とT 群が16秒ほど多くの時間がかかった.観察時間の検 討については, 胚1個あたり総処理時間において D 群が 40.8±2.2秒, T 群が 35.7±3.6秒とT 群のほうがが5秒ほど多くの時間がかかった. 一方,1周期あたりのランニングコストは D 群が 5196.4円,T 群が 1965.4円であり,T 群が3231円高くなった.

【考察】

T 群の方が1症例あたりの点検費とランニングコストは高くなり, 受精 確認の時間で16秒, 観察時の総処理時間で5秒と差はあったが有意な 差ではなかった.このように今回 Geriが培養室業務の負担を減らす結 果には至らなかった.そのため, 反復不成功例などの継続的な観察が 必要と考えられる症例を選び,Geriで培養することが望ましいと考え られた.

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