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[ 学術奨励賞 ]
O-8 TLCを用いて胚発達を改善させるEmbryo Plastyの臨床成績の検討

年次大会 一般演題

2020年度 年次大会-一般演題 | 学術集会 - 一般演題(口頭発表)

発表者 : 渡邉 華,寄田 朋子,後藤 優介,田口 新,戸水 桐子, 近藤 希衣,原田 祐紀,井上 果咲,飯田 ちひろ, 向田 哲規

Abstract

【目的】

近年,ART Laboの現場において胚の培養観察にTLCが多く用いられるようになってきたが,TLCでは基本的に培養観察であり, 胚発達の経過を細かく観察し詳細な情報を胚発達の予測,胚選択に用いるという受動的な使用が中心である.我々は経時的観察の中で胞胚腔形成に関係しない遊離割球や細胞割球間のfragmentation(frag)が多く存在する場合, 胞胚腔形成時の細胞割球同士の融合阻害現象や胞胚腔の拡大が阻害される現象を確認した.これを改善する目的で遊離割球や fragが接する部分の透明帯をLAH(Laser Assisted Hatching)により大きく開口することをEmbryoPlasty(EP)と定義し,EPの施行により胞胚腔拡大に伴って遊離割球や fragが胚外に押し出されることによる胚盤胞発達に対する改善効果を本学会でも報告してきた.今回 EPの臨床的有用性について更に検討したので報告する.

【対象と方法】

2019年6月から2020年8月までにIVFもしくは ICSIを施行し2PNが確認できた胚のうち胚盤胞まで培養を行った4831個を対象とした.

検討①:EP 施行の割合とEP 施行胚のうち凍結もしくは移植ができた胚の割合を調べた.

検討②:EP 施行胚1個を移植した47周期について妊娠成績を後方視的に検討した.妊娠判定は胎嚢(GS)の確認で臨床的妊娠とした.

【結果】

検討①:2PN 胚におけるEP 施行の割合は 20.1%(969/4831)であり, EP 施行胚のうち凍結または移植に供することができたのは51.9%(503/969)だった.

検討②:移植の内訳はホルモン補充周期(E+P 群)が16周期(平均年齢39.9歳), 排卵周期(OV 群)が17周期(平均年齢36.9歳), 新鮮胚移植周期(Fresh 群)が14周期(平均年齢36.4歳)だった. 各群における妊娠率はE+P 群31.3%(5/16),OV群41.2%(7/17),Fresh 群7.1%(1/14), 流 産 率 は E+P 群20.0%(1/5),OV 群14.3%(1/7),Fresh 群0.0%(0/1)だった.

【考察】

EPは全2PN 胚の20.1%に施行しており,EP 施行胚のうち51.9%の胚が凍結もしくは移植に供されていた.これより胚発達不良のため移植も凍結保存も難しいと判断された胚にEPを施行することで,胚発達を改善し,着床に繋げることは臨床成績の向上に大きく寄与することが示された.また EP 施行の可否は TLCを用いた細かい胚観察が不可欠であり,TLCを用いた胚質改善の試みという能動的利用法である.

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