Papers and Abstracts

論文・講演抄録

0-3 採卵時のfollicular flushing は有用でART成績を向上させる

学術集会 一般演題(口頭発表)

2021年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:岡本 純英・佐藤 春・松尾 恵子・原田 由李恵・福嶋 倫子・小柳 亜都美・臼井文・南 志・松尾 完・秋吉 俊明

ART岡本ウーマンズクリニック

Abstract

【緒言】
良好胚盤胞にもAneuploidy は混在する.より多く採卵すれば
Euploidy 胚は増える.Follicle flushing が不要とのSystematic reviewと RCT 論文が出た.しかし適正なflushingとの比較はなされていない.適正なFlushing の記録がなされれば卵胞液由来かFlushing buffer由来か比較できる.卵胞液のみの手引き採卵では卵の数が減るのは明らか.当院では1991年開業以来ずっと30年間Follicle Flushing(Monash大学方式)による採卵を行っている.テフロンチューブとファルコンチューブからなる採卵セットに採卵針を接続し,正規のサクションポンプで低圧吸引する.Flushing bufferはModified-HTFを使用する.Flushingは採卵助手の看護師が行う.穿刺卵胞液およびFlushing 回収液を入れたファルコンチューブは外回り看護師が番号と卵胞液量(ml)および卵胞サイズ(L,MおよびS)を記録しパスボックスから胚培養士に渡す.培養士はインクベータ一体型実態顕微鏡で検卵し速やかに卵子を回収する.術者は卵回収の鐘を聴いてから,次の卵胞穿刺に移る.熟練したteam workで採卵効率は上がる.
【対象】
2021年1月より5月までの間,当院で実施した採卵術169例について
検討を加えた.個々の症例の採卵記録から,採卵総数,穿刺卵胞番号,卵胞液とFlushing 緩衝液量(大中小の卵胞分類とFlushing 回数)および卵回収の有無を分析した.
【結果】
総採卵件数は169例で卵胞液からの直接吸引で1096個の卵(38.4%)を得た.Flushing bufferからの卵回収は788個(27.6%)であった.その詳細は,一回目Flushingで新たに554個,2回目で79個,3回目で44個,4回目で19個,5回目で13個,6回目で3個,7回目で3個,8回目で0個,9回目で1個,10回目で2個およびその他で70個の合計788個であった.卵未回収の穿刺が973回(34.1%)有った.総卵胞穿刺数は2857回であった.平均年齢37歳,Trigger投与時の血中Estradiol 値は2,682pg/ml でP4 値は0.7pg/ml,AMH2.9ng/mlであった.現在胚移植回数131件で50件(38.2%)が妊娠した.うち16件(32%)が流産した.Segmentation方式なので,今後更に累積妊娠と生産は増える.
【結語】
Follicle Flushingは有効である.27.6%の卵が追加されART成績は向上した。

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