論文詳細ページ

ART保険適用を考える

杉山力一

2021年度 年次大会-講演抄録 | ARTの保険診療化を考える

学会講師 : 杉山力一

Abstract

菅義偉総理は2020 年9月,新内閣の政策の目玉に「不妊治療の公的助成拡大・将来の保険適用」を掲げられた.
私は,ご就任直後に官邸に呼ばれ,不妊治療の現状と保険適用を含めた不妊治療の公的助成の在り方について,総理から意見を求められた.この時総理は政権として不妊治療の助成に力点を置き,将来保険適用を見据えていることを語られた.
私は不妊治療と助成制度の現状と,あくまで個人的な意見として,助成金額の拡大,所得制限撤廃,第2子以降の回数制限リセット等予算的制約などは考慮せず提言を行った.その後の展開は報道等でご存じの方も多いかと思うが,2021年1月から公的助成の大幅拡大,2022年度保険適用開始に大きな動きが進んでい
る.
さて,本年6月には生殖医療ガイドラインが完成した.このガイドラインは日本の生殖医療のスタンダードを示したものであり,決して保険適用を見据えたものではないと理解していたが,厚生労働省はガイドラインを保険適用のラインとして制度設計しているようである.

私はこのことには一抹の不満,不安を感じている.
混合診療ができない日本の保険医療制度を考えた時,「保険適用によって不妊治療の幅が制限されてしまう可能性」を最も懸念している.聞くところによれば,保険適用されない様々なオプションを評価療養(先進医療)や選定療養に位置付け,現状の治療の幅を維持できるように制度設計は進んでいるようだ.
それは喜ばしいことではあるものの,根幹部は保険適用(3割負担),自費部分(先進医療)は患者様負担となれば,負担総額は現状の助成金制度よりも多くなってしまう懸念がある.そのため,[自民党不妊治療支援拡充を考える議連(甘利明会長)]を始め,総理に「この自費部分に助成金の継続」を要望している.保険適用+助成金の実現に向け,残り少ない期間で精一杯訴えかけていくつもりでいる.
本講演の際には,制度がある程度決まっているかもしれないが,8月10日現在の状況を抄録として,お話しした.

ページ先頭