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不妊症看護認定看護師が考えるY, Z 世代への生殖看護

小松原千暁

2022年度 年次大会-講演抄録 | シンポジウム1「多様性が求められる未来のART について」

学会講師 : 小松原千暁

Abstract

Y世代とは,アメリカにおいて1980 年代前半から1990 年代中頃までに生まれた世代で,日本では「ゆとり世代」に相当する.Z世代とは,1990 年代中頃から2010 年代前半までに生まれた世代で,日本では「脱ゆとり世代」といわれている.これらの世代の共通点は,
デジタルネイティブという点である.ネットリテラシーが高く,情報収集力が非常に優れている.また,コスト・パフォーマンスやタイム・パフォーマンスを重要視するという特徴をもっている.一方,育ってきた時代や社会情勢は,その世代の考え方や価値観に影響を及ぼし,Y世代とZ世代の間にはジェネレーションギャップがあるといわれている.近年,職場や教育現場においては,各世代の特徴や世代間の違いを理解し,各世代に応じた対応が進められている.現在,不妊治療を受けている患者のほとんどはY世代である.そして,医療を提供する医療従事者はY世代より更に世代が上のX世代と認識しておく必要がある.近い将来不妊治療を受ける患者はY世代からZ世代に移行するため,不妊診療に
おいても各世代に応じた対応が必要だと考えられる.

私が不妊症看護認定看護師として行う看護支援は「患者の感情に寄り添う」,「正確な情報を分かりやすく提供する」,「二人の未来を一緒に考える」の3つを基本としている.患者が妊活中に抱く感情は様々であり,その気持ちを吐露できる場を提供し,妊活背景をアセスメントした上で感情に寄り添う.そのために患者との面談時には適度なパーソナルスペースを設けることを心掛けている.次に患者が納得のいく治療選択ができるよう,正確な情報を提供することが重要であると考え実践している.最近はインターネット等で簡単に情報を収集できるが,その情報が必ずしも正しいとは限らない.患者が誤ったり偏ったりした情報に惑わされないよう,正しい情報を提供しなければならない.また,不妊治療には専門的な内容が多いため,患者が理解することは非常に困難である.できるだけ専門用語を使わず,分かりやすい言葉で説明し,患者が理解できるように努めている.しかしながら,前文にも述べたように,医療者がX世代,患者がY, Z世代になる為,ここでも大
きなジェネレーションギャップが生じている事を理解して,情報提供を行う必要がある.初診時にはデジタルネイティブな患者がネットの情報をどのように,どこまで理解しているのか,情報を引き出し,正しい情報と不正確な情報を医療者側が即座にアセスメントを行い,軌道修正を行っていく事が大切だと感じる.更に,患者が「知らなかったから選択できなかった」ということがないよう,たとえ不妊治療中であっても自己配偶子以外の選択肢として卵子提供や養子縁組,また二人の生活をも想定した幅の広い選択肢の情報提供を行う.これらの多くの情報をもとに“二人の未来を一緒に考える”ことに責任感を持って携わり,患者を中心とした患者ファーストの看護支援を実践している.本講演では,近い将来不妊治療を受ける患者がY世代からZ世代に移行することを想定し,当院で現在実践している“先を見据えた生殖看護支援”を解説すると共に“これからの看護支援”について説明する.

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