O-10 Conventional IVF由来1PNの直径は移植後経過に影響しない
2023年度 学術集会 一般演題(口頭発表)
発表者:西野 奈緒美1)・中野 達也1)・佐藤 学1)2)・中岡 義晴1)・森本 義晴2) ・
医療法人三慧会 IVFなんばクリニック,医療法人三慧会 HORACグランフロント大阪クリニック
Abstract
【目的】
Conventional IVF(c-IVF)において、受精確認時に1前核のみの胚(1PN胚)がしばしば観察される。精子侵入後 6 時間程度で前核が形成されるが、c-IVFでは精子の進入時間を特定できない。そのため当院では c-IVF後の1PN 胚を正常受精とし、良好に発育した場合は2PN と同様治療に用いている。以前に、同一症例の2PN胚の前核直径に比べ1.2倍以上の直径を持つ1PN胚の発育能は高く、前核の直径比は発育能予測因子になりえることを報告した。本検討は直径別での1PN胚由来の移植後経過を比較、後方的に検討した。
【方法】
2017年1月から2021年12月に当院でc-IVFを施行後、タイムラプスインキュベータにて培養し、分割期胚または胚盤胞にて凍結保存、その後単一凍結融解胚移植を行った2304周期を対象とした。なお、1PN胚は前核直径30 µm以上(大)と30 µm未満(小)に分類した。内訳としては2PN胚(2234周期)、1PN胚(大) (49周期)、1PN胚(小)(21周期)であった。検討:1PN胚(大)、1PN胚(小)、2PN胚由来の移植後の生産率(=生産数/GS数)、流産率(=流産数/GS数)、出生児の体重、胎盤重量を比較した。
【成績】
妻年齢において1PN胚(大) vs. 1PN胚(小)のみ有意な差を認めた (1PN胚(大):36.1歳 vs. 1PN胚(小):38.8歳vs. 2PN胚:37.1歳)。2PN胚、1PN胚(大)と1PN胚(小)において、着床率、生産率、流産率、出生児の体重、胎盤重量、在胎日数で差はなかった(着床率39.7%(886/2233) vs. 44.9%(22/49) vs. 42.9%(9/21)、生産率75.8%(672/886) vs. 77.3%(17/22) vs. 66.7%(6/9)、流産率21.4%(190/886) vs. 18.2%(4/22) vs. 22.2%(2/9)、出生児の体重3079.2 g vs. 3159.5 g vs. 3352.4 g)、胎盤重量(584.2 g vs. 550.2 g vs. 632.8 g)、在胎日数(282.0日vs. 277.6日vs. 276.2日)。
【結論】
本検討において、前核直径に関わらずc-IVF由来1PN胚を移植しても妊娠、生産、流産には影響がないことが示唆された。しかし、前核直径が30 µm未満の場合、妊娠、生産、流産には影響がないものの、前核直径が30 µm以上と比較すると胎盤が重くなる傾向にある。今後は出生後の発育状況も含め症例数を増やし、さらに検討していく必要があると考える。