Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-14 化学療法後の卵巣重量と卵巣予備能の関係

学術集会 一般演題(口頭発表)

2022年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:荻野 奈々・脇本 裕・中川 公平・長谷川 昭子・柴原 浩章

兵庫医科大学

Abstract

【目的】
若年がん患者の妊孕性温存方法として,卵巣組織凍結(Ovarian
tissue cryopreservation)は卵巣刺激を必要としないため,初経前
の患者や早急な化学療法を要する疾患に対し有用とされている.化学療法により,卵巣組織は傷害を受け,卵巣予備能が低下するだけでなく,重量にも影響を及ぼすと報告されている.そこで化学療法後の血清AMH 値と各発育段階の卵胞密度との関係,化学療法後の卵巣体積と血清AMHの関係,発育卵胞が体積に及ぼす影響,化学療法が卵巣へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
【方法】
当院において2020年6月から2021年9月までに化学療法施行後に
OTCをうけた患者10例において,年齢,初経の発来の有無,原疾
患,摘出卵巣の重量,血清AMH 値,使用した化学療法の種類を
調査した.また摘出卵巣組織をHE 染色し,発育段階ごとに卵胞
を分類し,皮質面積を測定して密度を計算し,血清AMH 値との相関を検討した.また化学療法による卵巣組織への傷害の評価をするためにマッソントリクローム染色を施行した.
【成績】
対象患者における平均年齢は16.9±8.41歳であり,全員未経妊
であった.原疾患の内訳としては白血病7例,胚細胞腫瘍1例,ユーイング肉腫1例,脳腫瘍1例であった.平均の血清AMH 値は0.72±1.11ng/mlであり,摘出卵巣の平均重量は5.97±7.06gであった.各発育段階の卵胞密度とAMHの相関は,原始卵胞密度とは負の相関を認め(r=-0.14), 移行卵胞密度と正の相関を認め(r=0.59),1次卵胞密度とも正の相関を認め(r=0.72),2次卵胞密度とも正の相関を認めた(r=0.21).また体積と血清AMH も正の相関を認め(r=0. 85),体積と発育卵胞密度も正の相関を認めた(r=0. 42).化学療法後の卵巣においてはマッソントリクローム染色にて卵胞周囲の線維化を認めたが,多数の原始卵胞を認めた.
【結論】
化学療法施行後であっても卵巣予備能と体積は正の相関を示し
た.化学療法後の卵巣予備能の評価として卵巣体積は有用なマー
カーの一つであると言える.本研究では発育卵胞のうち,移行卵胞と二次卵胞において血清AMHと正の相関を認めたが,原始卵胞
数は正の相関を認めなかった.
また化学療法後であっても多数の原始卵胞が存在していたことにより,妊孕性温存法としてのOTCの有用性が示唆された.今後も症例をかさねた検討が必要であると考える.

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