Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-22 当院での腹腔鏡下卵巣組織移植術の手術手技習得における執刀経験数の統計的解析

学術集会 一般演題(口頭発表)

2021年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:孟 令博1)・河村 和弘2)・吉岡 伸人3)・田村 みどり1)・杉下 陽堂1・4)・鈴木 由妃1)・岩端 秀之1)・高江 正道1)・洞下 由記1)・鈴木 直1)

1) 聖マリアンナ医科大学産婦人科学, 2) 国際医療福祉大学医学部産婦人科,
3) つくば木場公園クリニック, 4) 聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター

Abstract

【背景】
卵巣組織凍結移植は若年がん患者における妊孕性温存療法や早発卵巣不全(Premature Ovarian Insufficiency:POI)患者に対するIVA(In Vitro Activation:卵胞活性化療法)の選択肢として考慮されているがその実施施設は限られており,この術式の執刀経験を有する医師はごくわずかである. 本術式を習熟するために必要な手術件数及びラーニングカーブについて検討した報告はいまだない.
【目的】
術者が腹腔鏡下卵巣組織移植術の習熟のために必要な本手術経験数を検討する.

【方法】
2010年8月〜2017年3月に当院にて早発卵巣不全患者100症例において実施された腹腔鏡下卵巣組織移植術129症例を執刀した産婦人科専門医および内視鏡専門医3名において, 術者ごとの執刀症例数,手術合併症, 総手術時間, 組織移植時間, 卵巣切片ごとの移植所要時間を診療録より後方視的に観察し, 統計的工程管理(SPC:Statistical Process Control)分析で検討した.
【結果】
術者Aは80症例,術者Bは29症例,術者Cは20症例を執刀した.手術合併症の発生は1.55%(2/129症例)であった. 術者間での平均総手術時間は110.10±31.50分, 卵巣切片ごとの平均移植所要時間は27.24±14.10分であった. 各術者では執刀手術数の増加に伴い各所要時間は短縮し, 総手術時間の短縮傾向を術者Aでは4症例,術者Bでは22症例,術者Cでは13症例の執刀経験後に認めた. 卵巣切片ごとの移植所要時間の短縮傾向は術者Aでは44症例, 術者Bでは22症例, 術者Cでは13症例の執刀経験後に認めた.それぞれの所要時間の定常化は総手術時間13–44症例, 卵巣切片ごとの移植所要時間は9–43症例の経験後に認められた.
【結論】
全体として手術合併症の発生率は1.55% であり, 本術式の合併症発生リスクは他の婦人科腹腔鏡下手術と比べて同等程度であることが示唆された. 本検討では当院での執刀医3 名の手術パフォーマンスは期待されるスキルに到達しており, 卵巣組織移植を行った場合には安全であることが示唆した.

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