Papers and Abstracts

論文・講演抄録

O-29 日本人不妊女性における血中25(OH)ビタミンD測定の臨床的意義: 大規模後方視的コホート研究

学術集会 一般演題(口頭発表)

2022年度 学術集会 一般演題(口頭発表)

発表者:光井 潤一郎1)・太田 邦明1), 2), 3)・髙橋 俊文2)・高柳 裕子1)・田島 麻紀子1)・名古 ゆり恵1)・川井 清孝1)

1) 亀田IVFクリニック幕張
2) 福島県立医科大学
3) 東京労災病院

Abstract

【目的】
25(OH)ビタミンD(VD)は骨への作用が中心であったが,近年ではその様々な作用が注目されており,特に生殖医療において卵子成熟や着床に対して重要な因子であることが解明されてきた.一方で,生殖可能女性の血中VDを測定すると日本を含む多くの国で,殆どの女性がVD不足であるという報告が多い.そのためVDの生殖医療における測定意義の真偽について議論されている.今回,我々はVDと生殖医療に用いられるパラメーターを後方視的に検討し,不妊女性におけるVDの生殖医療マーカーとしての意義について検討した.
【方法】
不妊を主訴に受診した女性患者(2029名)に,初診スクリーニング検査として問診(年齢,職業,不妊期間,喫煙,VDサプリメント内服の有無),超音波検査,子宮卵管造影,生殖機能パラメーターとして月経3日目ホルモン値(FSH,LH,E2),AMH,TSH,T4,VD,Th1/Th2比を測定した.VDと生殖機能パラメーターの相関関係はKruskall-WallisまたJonckheere-Terpstraで解析
した.
【成績】
年齢:34.5±4.5歳,BMI:14.8 〜 40.9kg/m2,不妊期間:22.7
±18.5 ヶ月であった.また,V D サプリメント内服者は10.8%,喫煙者は15.2%であった.不妊因子は卵巣機能不全:20.7%,排卵
障害:24.1%,子宮因子:40.8%,卵管性因子:18.2%,子宮内膜
症:11.7%,男性因子.42.2%であった.ホルモン基礎値の平均は
FSH:8.2 ± 5.2 IU/mL,LH:7.4± 5.7IU/mL,E2:50.8 ± 59.8
pg/ml,AMH:3.6±3.1ng/mL,TSH:1.7±1.1μIU/mL,T4:1.3±0.2 ng/dLであった. 平均VD 値は18.2±7.0ng/mL(4.1-46.6ng/mL)で,57.0% が欠乏(<20ng/mL), 28.0% が不足(20-30ng/mL),6. 0 %が充足(≥30 ng/mL)であった.VDと生殖機能マーカー
(AMH,FSH,TSH)には,有意な相関関係はなかったが,季節
ごとのVDでは冬(12,1,2月)が有意に低値であった(P<0.001).VDとTh1/Th2比には相関がなかった(Pearson R = -0.0182)が,VD 値が最も低値の冬のVDとTh1/Th2比は逆相関する傾向を認めた(Pearson R = −0.192).
【結論】
今回,我々の報告では,94%がVD不足であり,これまでの既
存の生殖機能マーカーとの相関関係は認めなった.一方で,VD
は季節変動性があることが明らかとなり,今後VDの測定時期を検討する必要が考えられた.本報告は国内外の既存の報告よりも大規模な検討となっており,生殖医療領域において,VD測定の意義を再検討する貴重な報告と考える.

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